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会計の知識は経理職だけが必要?社会人が身につけておきたい会計知識とは

会計知識は経理職だけに必要なものでしょうか。

実は、会計知識は、経理担当者や経営層だけでなく、営業やマーケティング、仕入をはじめ幅広い部門で活用できます。

また、役職が上がるほど会計知識が必要となる機会は増加します。

本記事では社会人にとって会計知識が大切な理由や世代別に身につけておきたい会計知識について解説します。

会計・財務の基礎知識


会計や財務は、いったいどういうものなのでしょうか。

日々の企業活動においては、商品やサービスの売買、経費の支払い、立替金や未払金の精算など、様々なお金の動きが生じています。

会計とは、このお金の流れを整理・記録・集計し、結果を利害関係者(ステークホルダー)に報告することを指します。

財務とは、企業活動を継続するために、会計で作成した財務諸表などをもとに経営状況を把握し、資金調達や資産運用を行うことです。

会計や財務は、金銭の流れの把握、経営状況の客観視、納税額の確定、経営戦略の立案をはじめとした幅広い場面で必要とされており、会社経営にとって欠かせないものの一つです。

関連記事:「会計とは? 会計の業務内容や経理・財務との違いを解説」

会計知識は経理職だけに必要なものではない


会計知識は「経理職ではないから自分には関係ない」と考えている人も多いのではないでしょうか。

ダイヤモンド社が実施した「社員には会計・ファイナンスの知識をどれくらい理解していてほしいですか?」(2021年)というアンケートによると、98%もの企業が一般従業員に対し会計やファイナンスの知識を理解してほしいと回答しています。

また、53%の企業が「財務三表」の理解やそれ以上の知識レベルを求めていることも分かりました。

参照:週刊ダイヤモンド「データが裏付け!課長&部長になりたきゃ決算書の理解は必須!」(2021年06月18日掲載)


なお、役職が上がるほど、会社が求める会計・ファイナンスの知識レベルも上がっていきます。

また、大阪商工会議所が実施した「社会人の必須スキルに関する調査」(2023年)においても、回答者の約9割が、社会人には経営や会計の知識が必要であると答えています。

2つのアンケート結果から、会計知識は経理職にとどまらず全ての社会人にとって必要な知識だということが分かります。

参照:大阪商工会議所「大商ニュース2023/10/10号|ビジネス会計検定試験 受験申込者数・上位法人と学校を公表」

会計知識が全ての社会人に役立つ3つの理由


実際に社会人が会計知識を身につけると、どのような場面で役立つのでしょうか。

会計に関する知識が役に立つ代表的な3つの場面を紹介します。

  • 企業間での取引を客観的に判断できるようになる
  • ビジネスの共通言語を理解できるようになる
  • 会計知識を身につけることで市場価値が上がる

企業間での取引を客観的に判断できるようになる

営業や仕入、マーケティングなど、様々な部署において、新たな取引先企業を検討する機会は多いでしょう。

例えば、新たに取引を始めた企業がすぐに倒産するようなことがあれば、自社の経営に大きなダメージを及ぼす可能性が生じます。

そのような状況を避けるためにも、取引先の経営状態を事前に把握しておかなければなりません。この時に役立つのが財務三表(決算書)を読み取る力です。

財務諸表のうちの貸借対照表では資産や負債、損益計算書では当期利益や損失などが確認できます。また、決算書を分析すると、企業の「収益性」「安全性」「成長性」などが分かるため、企業の経営状況を踏まえた上で、取引の是非を客観的に判断できます。

ビジネスの共通言語を理解できるようになる

全ての企業において、会計は欠かせません。そのため、会計知識を身につけると他業種や他業界の状況なども把握できるようになります。

先に述べたように、会計知識はビジネスの共通言語です。また、会計知識が必要なのは日本だけではありません。

世界中、どこの地域においても会計知識を基に経営が行われています。

会計上の細かいルールや決算書の構成要素などは、国や地域によって異なる部分があります。しかし、基本的な考え方には共通する部分も多く、会計知識を身につけておくことは大切です。

会計知識は、グローバルに活躍したい場合にも役立ちます。

会計知識を身につけることで市場価値が上がる

会計が不要な企業はありません。そのため、会計知識はどのような職種や業種でも必要不可欠な知識といえます。

先ほど紹介したダイヤモンド社が実施したアンケートにおいても、課長・部長・役員と、役職が上がるほど深い会計知識を求められているという結果が出ています。

財務三表の読解だけでなく、ROEやROAなどの財務指標、ファイナンスの概念、投資の評価方法など様々な知識が必要になります。

そのため、今の会社で昇進したいと希望している人や転職を検討している人は、会計知識を身につけることで、自分の市場価値を向上させることができます。

社会人が身につけておきたい会計知識とは


社会人が身につけておきたい会計知識のレベルは、会社における立場によって異なります。

若手社員であれば「財務三表」を読み解く知識が求められるでしょう。一方、ベテラン社員になると、財務三表の値を用いた分析や投資の評価方法など、幅広い知識が必要になります。

ここでは、世代別に身につけておきたい会計知識について見ていきましょう。

若手社員が身につけたい会計知識

若手社員の場合、財務諸表(決算書)の中でも代表的な「財務三表」の知識を身につけましょう。

財務三表とは、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」を指します。

なお、キャッシュ・フロー計算書の作成・提出義務があるのは上場企業のみですが、経営状況の把握や資金繰りの改善などに活用できるため、中小企業でも作成している企業があります。それぞれの特徴は次の通りです。

財務三表 主な内容 分かること
貸借対照表(BS) 資産・負債・資本金 財政状況
損益計算書(PL) 収益・費用・利益 経営状況
キャッシュ・フロー計算書(CF) 活動別キャッシュ・フロー(営業・投資・財務) キャッシュ(現預金)の流れ

会計知識があると、客観的に企業の財政状況や経営状況が把握できます。

中堅社員が身につけたい会計知識

中堅社員となると、様々な企業の財務三表に見慣れてきた頃でしょう。ここで追加したいのが、ROEやROAといった財務三表上の数値から導き出した「財務指標」に関する知識です。

財務指標の計算方法や意味を知ると、財務三表をさらに詳細に読み解くことが可能になります。

財務指標 計算式
ROA(総資産利益率) 当期純利益÷総資産×100
ROE(自己資本利益率) 当期純利益÷自己資本×100

ROAは、企業がその総資産に対し、どの程度の利益を生み出しているのかを確認する指標です。資産や融資を有効活用できているかどうかの判断に利用できます。数値が高いほど、効率的に利益を生み出していることになります。

ROEは、企業の自己資本に対し、どの程度の利益を生み出しているのかを確認する指標です。数値が高いほど、経営効率が高いことになります。

ベテラン社員が身につけたい会計知識

ベテラン社員ともなれば、財務三表や財務指標に加え、「ファイナンスの概念」や「投資の評価方法」といった知識が求められます。

ファイナンスとは資金調達や収益分配のことをいいます。主な資金調達方法としては、株式の発行、銀行からの融資、債券の発行、自己株式の処分などがあります。

投資評価とは、その投資を実行すべきかどうかを精査し、判断することをいいます。

投資評価は様々な角度から行わなければなりません。主要な三つの手法を見ていきましょう。

手法 内容
NPV(正味現在価値)法 投資で得られる利益を現在価値で表す
IRR(内部収益率)法 投資期間内の利回りを評価する
ペイバック(回収期間)法 初期投資額を回収できる期間を表す

それぞれに計算式がありますので、数値を当てはめて計算し、投資判断を行う時の判断基準の一つとして用います。

会計知識を身につけて社会人の思考力を鍛えよう


会計知識が必要なのは経理職だけではありません。会計知識は、全ての社会人にとって必要となる知識です。

特に役職が上がれば上がるほど、会計知識を業務の中で使うようになります。例えば、営業先や仕入先として新規取引を開始するかどうかを判断する際に、取引先の経営状況を財務諸表から読む必要などが出てきます。

経営陣には、資金調達や投資についての知識が求められるケースもあるでしょう。

会計知識はビジネスの共通言語です。グローバルに活躍したい人にとっても様々な場面で役立ちます。

自分の市場価値を上げるためにも、早めに会計知識を身につけましょう。

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