コンサルタントにおすすめの資格とは?資格を取得する際の注意点も解説
コラム記事コンサルタントとしてキャリアを積むために、どんな資格を取得すればよいのか悩む人は多いでしょう。
一般的に、コンサルタントになるために必須の資格はありません。しかし、特定の資格を取得することは、専門知識の向上やクライアントからの信頼を築く手助けになります。
本記事では、コンサルタントにおすすめの資格や取得の際に注意すべき点について解説します。
コンサルタントになるのに資格は必要か
先述した通り、一般的に、コンサルタントとして活動するための必須資格はありません。
しかし、資格の勉強に取り組むことで、効率的に専門知識を習得することができます。資格を取得すれば、その分野に対する専門的な知識やスキルがあることを客観的に証明でき、クライアントからも高い信頼が得られるでしょう。
コンサルティングファームの求人条件として、特定の資格取得を挙げているケースも見られます。
【種類別】コンサルタントにおすすめの資格
コンサルタントとして活躍するためにどの資格を取得するべきか迷うこともあるでしょう。
専門分野ごとに適切な資格は異なりますが、複数分野の資格を取得し幅広い知識やスキルを身につけることが、他のコンサルタントとの差別化や自身の市場価値向上につながるケースも見られます。
代表的な7つの分野について、それぞれに適した資格やスキルを見ていきましょう。
戦略系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
戦略系コンサルタントは主に経営戦略・市場戦略・競争戦略などに関するコンサルティングを行います。
おすすめの資格やスキルは次の二つです。
資格・スキル | 概要 | 合格率(2022年度) |
MBA(経営学修士) | 大学院で経営学等を学びビジネスに必要な力を身につける | 試験はなく、所定の単位を取得 |
中小企業診断士 | 中小企業に対し経営戦略のコンサルティングなどを行う |
第1次試験 28.9% |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
参照:一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士試験」
■MBA
MBAは資格ではなく、大学院で経営学の修士課程を修了した人に授与される学位です。経営学を学ぶ大学院をビジネススクールともいいます。
MBAプログラムを受講することで、経営戦略やマーケティング、組織論、経済学、財務・会計、情報管理システムなど、企業経営に必要な知識が身につきます。
MBAについて詳細を知りたい方は下記をご確認ください。
参照:アビタス「MBA(経営学修士)とは? MBAの種類やメリット・難易度を解説 」
■中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。
取得するには、経営戦略、組織、人事、経済学、IT、法務をはじめ幅広い分野の知識の習得が必要です。知識習得の過程でロジカルシンキングを学ぶなど、コンサルティングを行う上で役立つ知見も身につきます。
会計・財務系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
会計系コンサルタントは、会計・財務報告・内部統制などについてのアドバイスを提供します。
財務系コンサルタントは、資本予算編成・資金調達・投資戦略・資産運用・リスク管理などのアドバイスを提供します。
おすすめの資格は次の通りです。
資格 | 概要 | 合格率(2022年) |
税理士 | 税務分野に特化した専門家 | 19.5%(2022年度) |
公認会計士 | 会計監査などを行う専門家 | 7.7% |
USCPA(米国公認会計士) | アメリカの公認会計士資格 | 52.8% |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
参照:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」
参照:金融庁「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」
■税理士
税理士は、税務分野の専門家であることを証明する国家資格です。税務書類の作成、税務代理、税務相談は税理士の独占業務となっています。
■公認会計士
公認会計士は、企業の監査・会計分野の専門家であることを証明する国家資格です。上場企業など財務情報の監査が義務付けられている場合、公認会計士が監査や署名を行います。
■USCPA(米国公認会計士)
USCPAはアメリカの公認会計士の資格です。取得した州だけでなく、国際相互承認協定を結んでいる国であれば、追加研修等を受けると現地の会計士と同様の業務が行えます。
参照:アビタス「USCPAとは?魅力や取得後のキャリア・難易度・試験内容を詳しく解説」
人事系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
人事系コンサルタントは、人材教育・採用・組織開発・人事制度の構築・給与や退職金制度などに関するアドバイスを行います。
おすすめの資格は次の通りです。
資格 | 概要 | 合格率(2022年) |
キャリアコンサルタント | 労働者の職業に関する相談に応じる専門家 | 学科試験 61.7% 実技試験 57.7% 同時受験者 46.9% (11月実施 第21回結果) |
社会保険労務士 | 社会保険および人事労務関連の専門家 | 5.3% |
詳しく見ていきましょう。
参照:厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ|第21回キャリアコンサルタント試験結果の概要」
参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「第54回(令和4年度)社会保険労務士試験合格者数等受験状況一覧」
■キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントとは労働者の職業選択・職業生活設計・職業能力の開発および向上に関する専門家であることを証明する国家資格です。
相談者にとって望ましい職業選択やキャリア選択の支援などを行います。
参照:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
■社会保険労務士
社会保険労務士は、企業の人事労務関係の専門家であることを証明する国家資格です。労働条件や労働環境に関する相談やサポート・社会保険に関する手続き代行などを行います。
社会保険に関する申請書類の作成や手続き代行、助成金の申請は、社会保険労務士の独占業務となっています。
IT系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
IT系コンサルタントは、企業の課題解決のために、ITシステムの構築や導入支援を提案します。
おすすめの資格は次の通りです。
資格 | 概要 | 合格率(2022年) |
ITストラテジスト | ITを活用した経営戦略のシステム提案・構築 | 14.8% |
基本情報技術者 | IT分野全般の基礎レベルの技能や知識を持つ |
上期 39.6% |
応用情報技術者 | 基本情報技術者より高度な技能や知見を持つ |
春期 24.3% |
詳しく見ていきましょう。
参照:独立行政法人情報処理推進機構「情報処理技術者試験情報処理安全確保支援士試験統計資料令和4年度試験」
■ITストラテジスト
ITストラテジストは情報処理技術者試験の中でも特に高度といわれており、システム関連業務に携わる人に人気の高い国家資格です。
企業の経営戦略や事業戦略に対し、ITを活用したシステム提案や構築をするのが主な業務となります。
■基本情報技術者
基本情報技術者試験は、システム開発・運用・設計などIT分野全般の基礎レベルの技能や知識を持つことを証明する国家資格です。
■応用情報技術者
応用情報技術者試験は、ITエンジニアとして高度な知識や技能を持つことを証明する国家資格です。また、マネジメントやストラテジーの知識の習得が求められます。
医療・ヘルスケア系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
医療・ヘルスケア系コンサルタントは、医療やヘルスケア関連の企業に対し、経営面の課題解決支援を行います。
おすすめの資格は次の通りです。
資格 | 概要 | 合格率(2022年) |
医療経営士 | 医療機関マネジメントの専門家 |
1級 |
医業経営コンサルタント | 医療機関に対し、経営戦略のアドバイスなどを行う専門家 |
一次試験 77.2% |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
参照:一般社団法人日本医療経営実践協会「「医療経営士1級」資格認定試験受験者数の推移」
参照:公益財団法人日本医業経営コンサルタント協会「よくある質問」
■医療経営士
医療経営士とは、日本医療経営実践協会が認定する民間の資格です。
医療経営士の認定試験は1級から3級まであり、医療機関のマネジメントに必要な経営知識や経営課題解決能力を有する専門家であることを証明します。
■医業経営コンサルタント
医業経営コンサルタントは、日本医業経営コンサルタント協会が認定する民間の資格です。
医療経営の健全化や安定化に貢献することを目的として、医療機関に対し経営戦略などのアドバイスを行います。
参照:公益財団法人日本医業経営コンサルタント協会「医業経営コンサルタントについて|行政機関より認められた認定登録 医業経営コンサルタントの業務」
事業再生系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
事業再生系コンサルタントは、経営難に陥っている企業や経営危機に直面した企業に対し、再建・再生に関するプロセスなどについてのアドバイスを行います。
おすすめの資格は次の通りです。
資格 | 概要 | 合格率(2022年) |
事業再生士 | 事業再生に関する高度な知識や経験を持つ専門家 |
58.3%(全科目合格) |
弁護士 |
裁判の訴訟代理や弁護などをはじめとする法律に関する専門家 |
司法試験合格率45.5% |
詳しく見ていきましょう。
参照:一般社団法人日本ターンアラウンドマネジメント協会「認定事業再生士(CTP)資格試験 科目合格者数 2022年度」
参照:法務省大臣官房人事課 「令和4年司法試験の採点結果」
■事業再生士
事業再生士(認定事業再生士)は、一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会が認定する民間資格で、事業再生の専門家であることを証明します。
事業再生士は、米国認定事業再生士資格者に準じた業務基準や倫理規定などが適用されるため、国際的に通用する資格です。
参照:一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会(日本TMA) 「認定事業再生士(CTP)資格について」
■弁護士
弁護士は、裁判の訴訟代理や弁護などをはじめ、様々な法的トラブルに対応できる国家資格です。法律に関する専門的な知識を用いて、事業の再建や再生の相談に応じます。
外資系コンサルタントにおすすめの資格・スキル
外資系コンサルタントは、多国籍企業や国際的なプロジェクトなどに関する相談に対し、アドバイスを行います。海外に関する相談も多く、英語力が必要になる場面が多く見られます。
おすすめの資格・スキルは次の通りです。
資格・スキル | 概要 | 合格率(2022年) |
TOEIC® | 日常英語やビジネス英語力の測定 |
― |
TOEFL® |
英語圏をはじめとした大学や大学院に進学する際などに提出を求められる |
― |
USCPA(米国公認会計士) |
米国の公認会計士資格 |
52.8% |
詳しく見ていきましょう。
■TOEIC®
TOEIC®は、英語でのコミュニケーション能力を測ることを目的とした国際的な試験です。
試験では、主に日常生活やビジネスに関する内容が問われます。リスニング力・リーディング力を測定できることで有名ですが、スピーキング力・ライティング力も測定することができます。
■TOEFL®
TOEFL®は、英語圏の大学や大学院でスコアの提出が求められることの多い試験です。アメリカの歴史や芸術、文化、生物学など様々な学術的知識が問われます。
リスニング力・ライティング力・リーディング力・スピーキング力を測定します。
■USCPA(米国公認会計士)
USCPAは、アメリカの公認会計士資格です。日本で受験できますが、試験は全て英語で行われます。
そのため、USCPA取得者は会計知識に加えビジネスに必要な英語力があることを証明できます。
参照:アビタス「USCPAとは?魅力や取得後のキャリア・難易度・試験内容を詳しく解説」
コンサルタントを目指して資格を取得する時の注意点
コンサルタントに適した多くの資格を紹介してきました。
幅広い分野の資格を見てきたため、実際にこの中からどの資格を取得すればよいか、余計に迷ったという人もいるかもしれません。
コンサルタントを目指している人が、取得する資格を決める際に注意すべき点は下記の2つです。
- 目指すコンサルタントと資格の整合性を考える
- 資格を取得することを目的にしない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
目指すコンサルタントと資格の整合性を考える
資格を取得するには時間や教材などの費用がかかります。
目指すコンサルタントの専門分野やキャリアとの整合性を考え、取得資格を選ぶことが大切です。
コンサルタントの仕事は幅広く、実際の業務では様々な課題が持ち込まれます。専門分野を絞り専門性を高めることで、自分の得意分野を活かしながら業務を行うことが可能になります。
コンサルタントとしてどの分野でキャリアを積みたいのかをしっかり検討した上で、目的に沿った資格を取得しましょう。
資格を取得することを目的にしない
数多くの資格があるため、できるだけ多くの資格を取得した後でコンサルタントとして活躍したいと思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、資格取得を目的にすると、気づけば時間が過ぎていき、結果としてコンサルタントとしての実績がなかなか積めていないということにもなりかねません。
コンサルタントとして信頼され数多く仕事を依頼してもらうためには、実績やキャリアが必要になります。中長期的なキャリアを見据えた上で、本当に必要な資格だけを取得するようにしましょう。
目指すコンサルタントに合わせて役立つ資格を取得しよう
多くの場合、コンサルタントになるための必須の資格はありません。しかし、資格を取得することで、専門性をアピールでき、他のコンサルタントとの差別化や自分の市場価値向上を図ることができます。
資格取得の勉強に励むことで、効率よく専門知識やスキルを身につけることができるでしょう。
ただし紹介してきたように、資格の種類は多岐にわたります。どの分野のコンサルタントとしてキャリアを構築するか検討し、適切な資格を取得するようにしましょう。
コンサルタントにも必要な会計知識を身につけるならA-viewで!
これまで紹介してきたようにコンサルタントとしてキャリアを構築していく場合、専門性を高めていくために資格を取得することは役に立つでしょう。
また、市場価値の高いコンサルタントになるためには、資格と同様に会計知識も欠かすことができません。会計知識は問題解決や意思決定において不可欠です。
コンサルティングにおいては、クライアントの財務状況を正確に把握し、経済的な提案を行う必要があります。
専門性の高い資格と会計知識の組み合わせは、総合的なコンサルティング能力を向上させ、クライアントとの信頼関係を築くのに役立ちます。
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